「カタログの燃費と実燃費がまったく違うじゃないか!!」
車のカタログ燃費って、実燃費と剥離しすぎていてビックリしますよね。
免許取り立ての初心者のころは、まったくカタログ数値に近づかないので
「もしかして運転の方法を間違っているんじゃないだろうか」
と不安になったものです。
普通ならメーカー公表値と実測値が違うのなんてあってはならないわけで、車業界の抱えている闇はとてつもなく深いなぁ、と思っちゃいますよね。
というわけで、今回は燃費のお話です。
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参考になるのは10・15モード?JC08モード?
どんなに車に興味がない人でも、車を買う前に燃費ぐらいは確認していると思いますけど、実際に乗ったときの燃費と違うのはご存知の通りアテにはなりません。
じつはカタログに乗せている数値というのは、2種類あるのです。
- 10・15モード
- JC08モード
この2種類、わざわざ分かれているのには理由があるんです。
10・15モードとは
「10・15モード(じゅう、じゅうごもーど)」とは、2011年まで主流の測り方でした。
中古車を購入する時などでは今でも目にすることがあると思いますが、少し古い測定方法ですね。
実燃費と10・15モードの燃費の差が激しいので、今ではJC08モードに取って代わられました。
国土交通省認可時の測定条件
- 3,000km 慣らし走行後の車両
- 完全暖機状態 60km/h 15分暖機後モード測定
- 走行抵抗設定 車両(空車)状態+110kg(2名乗車分)
- 搭載電気機器 OFF状態
- エアコン OFF状態
測定条件は、新車状態から3000km走って慣らしを終わらせたあとの車両を使って、暖気をした後になります。
市街地走行を想定した厳しい測定パターンの10モードと、郊外走行を想定したゆるい測定パターンの15モードの2つを合わせて10・15と呼ばれています。
シャーシダイナモで測ります
10・15モードの燃費は、シャーシダイナモ、つまり機械の上で測定します。
自動車の重量ごとにかける負荷を変更しているので、同じ車種でもグレードによって燃費表示が変わるというのは、車重が原因だったみたいです。
JC08モードとは
10・15モードでは、普段使いの条件と剥離しすぎているので、新しく作られたのがJC08モードです。
こちらもシャーシダイナモ上での測定ですが、条件を厳しく設定されています。 具体的にいうと、
- 暖気運転無しの状態でも測定する
- 細かい速度変化での測定
- 負荷を実際の走行に近づけて測定
このように、ちょっと考えれば当たり前だろ?というような条件が追加されたので、10・15モードよりも1割ほど測定値が下がりますが、かなり実燃費に近づきました。
10・15モードとJC08モードの比較
要素 JC08モード 10・15モード 平均速度 24.4km/h 22.7km/h 最高速度 81.6km/h 70km/h 所要時間 1204秒 660秒 走行距離 8.172km 4.165km
2つを比べてみるとかなり違いますね。
速度をアップして、時間と距離は倍ぐらいに伸びています。
なぜこんなに実燃費と違うのか
ぶっちゃけると、全ての人に合わせた燃費を出すのは難しいです。
メーカーはいい数字を出したいので、どうしても条件を上げて測定したいからです。
例えば、
- 信号がない田舎道
- 渋滞の多い街中
の2ヶ所で燃費を測定すれば、一定の速度で走れる田舎道のほうが燃費が良くなります。
そうなれば、田舎に住んでいる人と、街中に住んでいる人の条件が違いすぎますよね。
こうなってくると、どうやって測定すればみんなが満足するのか分かりませんので、田舎道と街中を想定した平均値を出して、それなりの落とし所を作っているわけです。
余談
僕が昔乗っていた初期型ステップワゴン(RF1)は、
- 街中・・・リッター7
- 田舎・・・リッター12
と、めちゃくちゃ燃費が変わりました。
車重が重かったので、停止状態から加速のにガソリンをたくさん使ってしまうのが、街中で燃費が落ちる原因みたいで、「ここまで差が出るのか」とびっくりしたのを覚えています。
メーカーによっても数値は違います
三菱の燃費不正問題が記憶に新しいですが、自動車メーカーでも実燃費との差が変わってきます。
不正はダメですが、両極端な2社の例を出します。
《三菱の例》
測定値から有利な条件を選ぶプログラムを作って運用
《スズキの例》
実燃費に近づけるために、調整用のオモリを増やして測定
一定の条件でテストしなければいけないので、三菱もスズキも不正になってしまったわけですが、どう考えてもスズキの不正は不正とは言いにくいでしょう。
同時に不正問題として発覚したのですが、スズキの測定方法を聞いてみんなが大絶賛していました。
スズキのカタログ燃費は実燃費に近いっていうのは前から噂になってましたからね。
と、このように測定方法1つとってもメーカー間で差があるので、調べてみても面白いかも知れません。
まとめ
たかがカタログ燃費、されどカタログ燃費。
「カタログ燃費なんていらないじゃない!」
とは言えないのが悲しいところで、結局はアテにしてしまうんですよね。
なので、参考程度として見ておくのが良さそうです。